インドネシアは間違いなく大国になるポテンシャルを秘めているはずなのに、なかなか発展しません。
本記事ではその理由について、インドネシアに住む僕が主観で考えてみました。裏打ちされた根拠があるわけではなく、肌感覚的な側面が強いことをあらかじめご了承ください。
冒頭で言っておきますが、僕はインドネシア歴2ヶ月にも満たない、インドネシア初心者です。
本記事ではネガティブな要素が多数出てきますが、自分のことを棚に上げています。仕事ではインドネシア人に助けられることも多々ありますし、めちゃくちゃ優秀だなと感じる人も多数います。
インドネシア初心者が肌感覚で感じたことを書き連ねていますので、「ここの考え方は間違ってるよ」「記事にはなかったけど、こういう側面もあるよ」など、教えていただけると大変助かります。
目次
何があっても Tidak apa-apa(大丈夫)
インドネシアは世界一渋滞がひどい国なんて言われたりもしますが、交通マナーも日本と比べると壊滅的に悪いです。そのため、事故がよく起きます。
しかし、警察がきちんと機能していない国ということもあり、「お互い怪我しなくて良かったね〜Tidak apa-apa」と言って終わることがあります。
他にも、僕の家の郵便ボックスを開ける鍵が予定を過ぎていつまで経っても届かない時に、いつ届くのか確認したところ、「もうすぐ届くよ〜Tidak apa-apa」なんていう場面にも遭遇しました。
補足
ちなみに、Sudah(もうした)、Nanti(後で)も要注意のワードです。「終わった → Sudah」「機械が壊れてるので改善がいるね → Nanti」といった具合に、何が終わったのか、いつ終わらせるのか、明確にしておくことが大切です。
責任感がない
先ほどの郵便ボックスの鍵が届かない話に戻りますが、実はこれ、かなりたらい回しにされてます。
僕「郵便ボックスの鍵が届いている予定なんですが、まだきてません。いつ届きますか」
セキュリティー「今はわからない。火曜日の朝に来るセキュリティーに尋ねてみてくれ」
(火曜日)
僕「郵便ボックスの鍵がまだ届いていないのですが、いつ届きますか?」
セキュリティー「自分もわからない。電話してみるから待ってて」
セキュリティー「今はエンジニア?が不在のようだ。また後で来てくれ」
僕「後っていうのは今日?何時に来れば良いんですか?」
セキュリティー「明日だ。明日の何時でも良い」
こうしてたらい回しにされて、ようやく鍵を入手しました。
基本的にめんどくさいことは次の人に丸投げし、自分には関係ないスタンスをとってきます。解決に向けて行動してくれることを期待してはいけません。
似たような話は他にもたくさんありまして、例えば工場で機械が壊れても、壊れるまでみんな知らんぷり → いきなり機械が壊れることは少なくて、大体予兆がありますが、自分が報告するといつもの流れ作業に加えて報告する手間が出てくるからとほったらかしです。
問題が起きても、「私の時に機械が壊れたわけじゃない」「特に予兆に気がつかなかった。いつも通りだった」というだけです。
自己愛や自国への愛が強い = 批判的な意見に耳を傾けない
インドネシア人は自分や自国への批判的な意見は受け入れません。
もし身近にインドネシア人がいるなら、インドネシアってどんな国?と聞いてみてください。
ほぼ確実に、「良い国だよ」「安全だし、ご飯も美味しいよ」「良い場所がいっぱいあるよ」と良い側面だけを話してくれます。
そしてこれは他人の批判的な意見に耳を傾けないことに繋がります。以前インドネシア人の彼女と大喧嘩になったことがあるのですが、そのきっかけは僕の理詰めが原因です。
僕「どうして7年間も働いてないの?」
彼女「毎日努力してるけど、上手く行かないんだよね。でも頑張ることが大事だし、両親や近所の人も応援してくれてるよ。」
僕「今まで具体的に何社、どういう関係の仕事を受けてダメだったの?ダメだと思う原因は見つかった?」
彼女「honey...インドネシアには若者がたくさんいて仕事を見つけるのが難しいわ。なんと今は800万人もの若者が仕事を求めて頑張ってるんだよ」
僕「インドネシアの生産年齢人口を考慮すると、働いていない人は5%弱だから決して多いわけではないね。100人いたら4、5人だけ働いてなくて、残りの95人くらいは仕事してるよ。仕事の選り好みをしてるか、面接や書類などを見直してみたらどうかな?」
この後の関係が険悪になったのは言うまでもありません。
仕事でインドネシア人と接する場合を除き、個人や国のためを思って批判的な意見を述べたところで嫌がられるだけなので、基本的には褒めまくるのが良いでしょう。
基本的にやる気がない
割と綺麗で大きなショッピングモールに行っても、店員が床に座ってスマホダラダラいじっている場面にしょっちゅう遭遇します。
レストランに行っても注文状況を把握してなくて、いつまで経っても料理が来ないこともあります。
日本と比べるのは間違いとも思いますが、この国は基本的にやる気なしです。
時間が緩やかに流れていて、ストレスフルな社会ではないので、旅行などで来るには最高かもしれませんね。仕事をしたり生活をしたりすると、少し大変です。
論理的思考が苦手
物事の側面を多面的に捉えられません。今やっている作業は何のためにやっていて、それがどこでどのように使われるのかを考えた上で、そのような使われ方をするなら、ここの作業にこのような工夫を加えてみたらどうだろう といったような発想が苦手です。
・言われたからやる
・言われた通りやってるだけだから、問題が起きても関係ない
このように考える人が多いように思います。
ちなみにインドネシア人は計算が苦手な人が多く、勤務日が10日あって、うち7日は9人出社、うち3日は6人出社すると合計は81人ですよね。日本人は暗算でパパっと計算できますが、インドネシア人は暗算で計算できない人が多いようです。
物事を戦略的に考える上で論理的思考力は不可欠で、その過程で具体的な数値を用いた計算も必ずしなければなりません。自分で考える習慣がないと、なかなか身につかないところですね。
人件費が高い
出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構:2019年州別最低賃金と地域別、産業別の動向
インドネシアの最低賃金は、2012年あたりから凄まじい勢いで上昇しています。
インドネシアといっても広いので、地域によって最低賃金は大きく異なります。
経済の中心地であるジャカルタ、日系企業が多く進出するチカランやカラワンなどの地域では、最低賃金はかなり上昇しており、他の東南アジア諸国と比べても人件費でメリットはありません。
出典:2015 年 6 月 日本貿易振興機構(ジェトロ) 海外調査部:第 25 回 アジア・オセ
こちらの資料からも、ジャカルタの最低賃金はマニラ、バンコク、ハノイといった他の東南アジア主要都市を大きく上回っています。
インドネシアの主要都市における最低賃金は、なぜ毎年上がり続けるのでしょうか。
インドネシアでは労働者や労働組合が最低賃金を上げるようデモを起こしているからです。高速道路を封鎖したり、工業団地の出入り口を封鎖したりと、過激なことをやっています。
しかし、結果としてこの行為は自分たちの首を締めることになります。
なぜ外資系企業がインドネシアに生産拠点を構えるのか。それは ①豊富な労働力 ②安価な労働力 ③安定した経済成長 の3つの要因があるからです。
他の東南アジア諸国よりも ②安価な労働力 というメリットを失うと、やがて外資系企業は撤退していき、失業率の増加につながる懸念があります。
これはジョコ政権も問題に捉えてるようで、2015年に最低賃金の上昇率に関する新ルールを作りました。
最低賃金の上昇率 = 前年の経済成長率 + 前年の物価上昇率
これにより、2020年の最低賃金の上昇率は8.51%と定められました。
しかし、十分に上がり切ってしまった現在で上昇率が8.51%というのは、かなり大きい金額になります。
これまで毎年当たり前のように10%以上の上昇率だったのが、急に一桁の上昇率になったのでデモの懸念はまだまだ拭いきれません。
まとめ:インドネシアが発展するにはどうしたら良いか
インドネシアが発展するには、上記のような問題点を改善する必要があります。
まとめると、こんな感じですね。
・他人の批判的な意見を聞く(道徳)
・他人任せでなく、自分の事のように考える(道徳)
・論理的思考力を鍛える(算数)
道徳教育と算数に力を入れていくことが、今後のインドネシア発展に不可欠ではないでしょうか。
まずは道徳教育で他人の意見を聞く大切さを知り、他人任せにする考え方を改めて自分ごとのように考える習慣を身につけます。その上で見えてきた問題点を論理的に解決する能力(算数)を発揮することで、発展の土台が出来上がると思います。
インドネシアには親切な人がたくさんいますし、魅力的な場所がたくさんあります。
そしていうまでもなく、非常に優秀な方も数多くいます。日本人は義務教育で同じことを学び、程度の差はあれど同じようなレベル感ですよね。インドネシアはその差が大きい気がします。
この記事を書いた5月27日、僕はインドネシアで働き始めて2ヶ月も経ってないので、自分のことを棚に上げて書いています。
「この考え方は間違ってるよ」「こういう側面もあるよ」などの指摘は大歓迎です。まだまだインドネシアのことを知らないので、もっと勉強していきたいなと思っています。
この国の発展をお祈りして、筆を置かせていただきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!