一日3食が健康の基本という常識を覆し、アメリカの研究より空腹が長寿と健康のカギであることが明らかとなりました。
空腹とは「食べ物を食べない時間」のことです。医師である著者は、空腹の効果を最大限に享受できる時間は16時間以上であると結論づけました。
がん、認知症、糖尿病、高血圧、内臓脂肪など、様々な病気を予防する空腹の効果を得るための、奇跡の食事法を学びましょう。
一日3食は食べすぎである
成人が一日に必要なカロリーは1,800〜2,200カロリーと言われているそうです。
高カロリーなものが多い外食やコンビニ弁当などが多い人は簡単に超えてしまう可能性があります。一日3食の場合はなおさらです。
食べすぎの問題は ① 内臓の疲れ ② 肥満 ③ 活性酸素の増加 ④ 糖質の摂りすぎ ⑤ 血糖値の上昇 の5つあります。
① 内臓の疲れ
私たちが「食事」というと、食べ物を口に入れることですよね。
しかし、食後に胃腸や肝臓などの内臓は時間をかけて消化していきます。
食べ物が胃の中で消化される時間は2〜3時間(脂肪分が多いと4〜5時間)、小腸で分解・吸収する時間は5〜8時間と言われています。
つまり、胃や小腸にまだ食べ物が残っているにもかかわらず、次の食べ物が運ばれてくるのです。
内臓は休憩することができず、常に働きっぱなし。これでは内臓が疲れてしまいます。
② 肥満
食事から摂った糖質や脂質は体のエネルギーとして使われますが、余剰分は筋肉や肝臓に蓄えられ、さらに残った分は中性脂肪となるそうです。
この脂肪は非常に厄介で、特に内臓脂肪は血糖値の上昇や高血圧、さらにはがんなどを招きます。
③ 活性酸素の増加
食後から10時間で肝臓に蓄えられた糖がなくなり、16時間で「オートファジー」が働きます。
オートファジーとは細胞内のタンパク質を新しくする仕組みのことです。
細胞内のミトコンドリアが古くなると活性酸素が増えるのですが、オートファジーによって古くなったミトコンドリアを新しくすることで、活性酸素の増加を防ぐことができます。
すなわち、空腹の時間を16時間以上作ることで、オートファジーを働かせることは病気の予防に繋がります。
④ 糖質の摂りすぎ
現代の日本人は糖を摂りすぎているそうです。
成人が一日に必要な糖質は170gですが、茶碗一杯の白米で50g、6枚切り食パン1枚で30g、うどん一玉(250g)で50gと、必要分は簡単に摂取できます。
一日3食、もしくはお菓子やデザートを食べると糖質過多になる可能性が高いです。
糖質は中性脂肪に変わりやすく、脂肪肝(肝臓に脂肪がたまった状態)の原因にもなります。脂肪肝は肝硬変や肝臓がんを引き起こすこともあるのです。
また、糖質過多の最大の問題は糖尿病ですが、2016年で糖尿病患者が1,000万人、糖尿病予備軍が1,000万人もいるそうです。日本人の約6人に1人の計算になります。
⑤ 血糖値の上昇
血糖値の上昇は ④ 糖質の摂りすぎ によって起こります。
血糖値が上がると、すい臓からインスリンというホルモンが分泌されます。
大量の糖質を摂取する(血糖値の急増加)と大量のインスリンが分泌され、急激に血糖値が下がります。この血糖値の急増加・急減少は食後の眠気やだるさなどを引き起こすそうです。
糖質過多の食事を続けると血糖値は高い状態が続き、血糖値を下げるホルモンであるインスリンを細胞が受け付けなくなります。
すい臓は血糖値を下げようと頑張ってインスリンを分泌しようとして、やがて疲れてしまい、インスリンの分泌が少なくなります。
これが2型糖尿病につながり、心筋梗塞や脳梗塞、認知症、がんなど、様々な病気にかかりやすくなるそうです。
空腹こそ最高のクスリ
③ 活性酸素の増加 で述べましたが、食後から10時間で肝臓に蓄えられた糖がなくなり、16時間で「オートファジー」が働きます。
オートファジーとは細胞内のタンパク質を新しくする仕組みのことで、体の不調や老化は古くなったり壊れたりした細胞によって生じます。
つまり、空腹の時間を16時間以上作ることは、体に対する様々な良い効果が期待できます。
・肥満を防ぐ
・アレルギーの改善
・体の不調や老化を防ぐ
・内臓脂肪の肥満が原因の高血圧を防ぐ
・内臓の疲れがとれて、免疫力が上がる
・オートファジーによる発がんリスクを下げる
・血糖値が下がり、インスリンが適切に分泌される
・感染症の予防(サルモネラ、結核菌、黄色ブドウ球菌など)
著者はこれらの理由により、「空腹こそ最高のクスリ」と述べています。
空腹時間の作り方
空腹時間は16時間がベスト。
ですが、16時間なんて長い時間、ちょっと難しそうじゃないですか?
これまで一日3食が当たり前だった人が、16時間の空腹をするにはどうすればいいか、著者はオススメの方法を紹介しています。
パターン①:夜間に空腹の時間を作る
パターン②:昼間に空腹の時間を作る
それぞれ詳しく見ていきましょう。
パターン①:夜間に空腹の時間を作る
06:00:起床
10:00:朝食
18:00:夕食
22:00:就寝
空腹時間:18:00 - 10:00
こんな声が聞こえてきそうですが、忙しく働くサラリーマンのためにも、空腹時間を作る方法がパターン②で紹介されています。
パターン②:昼間に空腹の時間を作る
06:00:朝食
22:00:夕食
00:00:就寝
空腹時間:06:00 - 22:00
空腹時間は柔軟に対応しよう
自分にあったパターンを作れば、後は実行するのみ。
ですが、予想外の出来事で実行が難しいこともあると思います。例えば、パターン② を実行していたけど、上司に昼食に誘われるなど。
このような場合、著者は柔軟に対応することが大切だと述べています。毎日実行することが望ましいですが、平日はどうしても難しいなら土日だけ実行するなど、無理せず継続することが最も大切です。
空腹時間中にお腹が空いて我慢できない時の対応は?
空腹時間の重要性は十分に理解できたけど、16時間もの間、いきなり我慢するのはかなりきついです。
一日3食が当たり前だった人にとって、耐え難い苦行に感じることでしょう。
そのような時、ナッツ類(味付けされていない素焼きのもの)は食べてもいいそうです。ナッツ類が苦手なら、サラダやチーズ、ヨーグルトでも大丈夫です。
糖質を多く含むご飯やパンなどは避けるようにしてください。
空腹を実行するときの注意点
空腹の効果は素晴らしいですが、実行するにあたって注意点があります。
① 筋力の低下
② オートファジーを利用して増殖する細菌
詳しく見ていきましょう。
① 筋力の低下
空腹では一日の総摂取カロリーが減り、内臓脂肪が分解されますが、それと同時に筋肉も落ちてしまいます。
筋肉が落ちると太りやすい体質になってしまうことから、日常生活の中でトレーニングすることを心がけてください。
トレーニングといってもハードな筋トレではなく、エレベーターを使わず階段を使ったり、最寄り駅の一つ先の駅まで歩いてみたりなど、簡単なことで大丈夫です。
② オートファジーを利用して増殖する細菌
空腹には、サルモネラ、結核菌、黄色ブドウ球菌などの感染症に対して予防の効果があると述べてきました。
しかしながら、オートファジーを利用して増殖する細菌があります。性感染症のクラミジア、食中毒の腸炎ビブリオ、肺炎のレジオネラ、歯周病菌が該当するそうです。
これらの細菌に感染していたり、これらの細菌による病気にかかっている場合は、空腹を実行する前に医師に相談してください。
まとめ
空腹の効果を最大限に享受できる時間は16時間以上であり、空腹には、がん、認知症、糖尿病、高血圧、内臓脂肪など、様々な病気を予防する効果があります。
空腹の効果は素晴らしいので、改めて空腹を継続するコツについて、下記に整理します。
✔ 空腹時間は16時間
✔ 空腹時間中にお腹が空いたらナッツ類
✔ 空腹は無理せず柔軟な対応が大切!毎日が難しいなら週末からスタート
みなさんもぜひ、空腹の効果を感じてみてください!